
宿毛から四万十河口へ向かうところで夜が明けてきた。その美しさにしばし見とれる。
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さて。だいぶ長いこと空白を作ってしまったけど、十三日間日本一周のコマをそろそろ次のマスに進めたいと思う。まずは前半のメインイベントでもある四万十編から順に書き進めていきたい。
まだ読んでない人で興味のある人は先日INDEXを作ったので、そちらを参考にしてもらえるといいと思います。
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INDEX**********
ひたすら走り続けて3日間。なんだか初めて体も頭も休めたような気がした。こんな瞬間にこんな場所に存在できるから、やはり旅は良いものなのだと思う。
4日目のプランは、とにかく「河口から源流まで四万十川を遡る」というだけである。ルート設定も何もしていない。ただゴール地点を適当に決めて、あとはナビ任せである。その方が俺は景色を堪能することに専念できるし、予測不可能なシーンに出会うこともあるだろうと思ったのだ。
とりあえずスタート地点である四万十川河口付近を目指して移動する。途中コンビニを見かけたが、まずはスタートからということで朝食の調達をしなかった(これをあとで大いに後悔することになるのだが)。

河口に向かう細い道の脇で古いスカイラインに出会う。

河口付近。早朝の静寂がまだ色濃く残る午前6時。
日が昇ってまだ間もない四万十川下流は、人の気配も少なく、日本一の清流にふさわしい雰囲気を醸し出していた。季節外れであるし旅行者などは俺一人だろう。

河口にもっとも近い地点に四万十川に関する立看板が用意されていた。
俺はここを四万十遡上のスタート地点に定めた。

河口からしばらくはまだ人家も少なくなく豊かな農村地帯という風情だ。道路も整備されているし、公共施設も少なからず見られた。
ただ今にして思えば、最下流なのに信州の田舎と大差ないというのは少し警戒すべきことだったかもしれない・・・。

河口からそれほど走っていないのにいきなりこんな道に・・・。
ということはさすがになくて、対岸にはそれなりに太い国道がある。ちょっと向こう岸に道路が見えたので行ってみたらいきなりの細道でちょっと面食らった。これが後に言う四万十の洗礼である。
この針葉樹の落ち葉が積もった道を突き進むと、突然民家がある。
小さな畑のある家だ。この道はその住人のためにある道なのだろう。朝っぱらなのでなるべく静かに速やかに通り過ぎた。

四万十はとにかく美しい。それは水質がどうのという話ではない。人間がいない地球が美しいのと同じ理由で美しい。それをクルマで排気ガスを撒き散らしながら陵辱して遡上しているのだから少し後ろめたいが、いまさら仕方がない。速やかに立ち去るのみだ。

整備されている道路もあるが、全体から見ればほんの一部である。多くは自然を色濃く残してある。残してあるのか、手をつけてないだけなのか、手をつけるほど人が住んでいないのかわからないが、たぶん3番目の理由が主だろう。とにかく川の周辺には民家が少ない。そりゃ水もきれいだろうなあと思う。

下流で川沿いを走ると、このような欄干のない簡単なコンクリートの橋をいくつか見ることができる。クルマ一台分ぐらいしかない橋だが、国道の対岸の集落にとっては貴重な生活道路なのだろう。
川の流れはゆったりとしていて、このような橋でも十分役目を果たせるのだ。

まだ河口から1時間も走っていない。まだ下流域に属する地点でもこの美しさである。俺はもうこの川にメロメロになっている。画像は残していないけど終始ニヤついていたかもしれない。
これまでの旅程では、直前までのさまざまな事柄が常に頭のどこかにこびりついていて、心底旅を楽しんでいなかったような気がするが、四万十に来てからは完全にそれらを忘れて、心からここに今自分がいる幸福を味わうことができていたように思う。

白鷺。絵になる。

遠くにさっき渡ってきたコンクリの欄干のない橋が見える。

特に工夫しなくても画角に人工物がほとんど入ってこない。実のところ道路以外に何もないと言っても過言ではないのだ。そして、それはこの画像から数分後に大問題として俺の身に降りかかってきた。
河口からこっち、コンビニどころか売店らしきものもまったくないので、朝飯を調達できないのだ。
いや、買おうとは思っていたのだ。スタートからずっと。でも買える場所がまったくなかったのだ。宿毛のコンビニで調達しておけばよかったと後悔し始めるのはこの頃である。
飢餓状態は旅情など簡単に破壊する。この辺りからの俺は餌を求める狼のような精神状態で旅を続けることになるのだった。